畳薦へだて編む数通はさば
道の芝草生ひずあらましを
- 歌の意味
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畳薦を一目ずつ隔てて編むその編み目の数ほど、あなたが通って来てくださったなら、道の芝草も生えずにいただろうに。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2777
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
畳にする薦の編み目の数ほど何度も通って来てくれたなら、通い路に芝草など生えなかっただろうにと、訪れの途絶えた相手を恨む歌である。道に草が生えたという事実で、男の足が遠のいたことを遠回しに責めている。
薦に寄せる歌で、畳薦を編む細かな手仕事を、通いの回数の多さのたとえに用いている。前歌が道の草を踏み枯らして待つ男を詠んだのに対し、本歌は通う人がなく草が生えた道を詠んでおり、道の草をめぐって待つ側と通わぬ側とが対照をなしている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「畳薦」は、敷物の畳にするために編む薦をいい、ここでは「へだて編む」にかかる枕詞である。物に寄せる部立として、身近な手仕事を歌の初めに置いている。
二句「へだて編む数」は、一目ずつ間を隔てて編むその編み目の数の意である。数の多さを表し、度重なる訪れのたとえとなっている。
三句「通はさば」は、あなたが通って来てくださったならの意である。「通はす」は「通ふ」に尊敬の助動詞「す」が付いた形、「ば」は未然形に付いて仮定条件を表し、結句の「まし」と呼応して反実仮想をなしている。
四句「道の芝草」は、通い路に生える芝草の意である。人が通わないために道に草が生えたことを示している。
結句「生ひずあらましを」は、生えずにいただろうにの意である。「まし」は反実仮想の助動詞、「を」は逆接の詠嘆を表す終助詞で、訪れの絶えた相手への恨みを込めて結んでいる。
たたみこも:畳にするために編む薦
しばくさ:芝などの丈の低い草
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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道の辺の草を冬野に踏み枯らし 我れ立ち待つと妹に告げこそ
- 次の歌
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水底に生ふる玉藻の生ひ出でず よしこのころはかくて通はむ