咲く花は過ぐる時あれど我が恋ふる
心のうちはやむ時もなし
- 歌の意味
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咲く花は盛りが過ぎて散る時があるけれども、私が恋い慕う心の内は、やむ時もない。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2785
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
咲く花には盛りが過ぎる時があるが、自分の恋する心はやむ時がないと、花と比べて恋の絶え間なさを訴えた歌である。移ろう花と移ろわない恋心とを対比させ、思いの深さと苦しさを平明に言い表している。
花に寄せる一連の歌で、前の二首が花の開く姿や色に恋心が表に出ることを重ねたのに対し、本歌は花の盛りが過ぎることを取り上げ、それと異なる恋心の終わりのなさを詠んでいる。上の句の「過ぐる時」と下の句の「やむ時」とが向かい合い、花の時と恋の時とを別の尺度で比べる構成となっている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「咲く花は」は、咲いている花はの意である。係助詞「は」によって花を取り立て、下の「心のうちは」と対比させている。
二句「過ぐる時あれど」は、盛りが過ぎる時があるけれどもの意である。「ど」は逆接の接続助詞で、花の移ろいを認めたうえで、下の恋心へと転じている。
三句「我が恋ふる」は、私が恋い慕うの意である。「恋ふる」は動詞「恋ふ」の連体形で、「心」にかかっている。
四句「心のうちは」は、心の中はの意である。初句の「咲く花は」と同じく係助詞「は」で取り立て、花と心とを並べている。
結句「やむ時もなし」は、やむ時もないの意である。二句の「過ぐる時」と対応し、係助詞「も」によって少しの間もやむことがない思いを強めている。
こふ:恋い慕う、恋しく思う
すぐ:時が過ぎる。花の盛りが過ぎて衰える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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隠りには恋ひて死ぬともみ園生の 韓藍の花の色に出でめやも
- 次の歌
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山吹のにほへる妹がはねず色の 赤裳の姿夢に見えつつ