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天地の寄り合ひの極み玉の緒の
絶えじと思ふ妹があたり見つ

歌の意味
天と地が寄り合う果てまで、玉の緒のように絶えることはあるまいと思う妻の家のあたりを見た。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2787

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 天と地が寄り合う果てまでも、二人の仲は決して絶えまいと思う恋人の家のあたりを、ようやく目にしたと詠んだ歌である。旅の途中などで、遠くに妻の住むあたりを望み見た喜びと、永遠の契りを確かめる心とが、大きな天地の表現とともに歌われている。
 本歌から「玉の緒」を詠み込む歌が続き、本巻の第二千七百九十三首まで、玉を貫く緒に寄せて恋の絶えないことや乱れることを詠む一連となっている。本歌では「天地の寄り合ひの極み」という果てしない空間の尺度と、細い「玉の緒」とが組み合わされ、永遠に続く仲を誓っている。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「天地の」は、天と地のの意である。天地という最も大きなものを持ち出し、下の「寄り合ひの極み」とともに永遠を表している。
 二句「寄り合ひの極み」は、天と地が寄り合う果てまでの意で、天地の続く限り、いつまでもということを表す。「極み」は果て、限りの意である。
 三句「玉の緒の」は「絶え」にかかる枕詞である。玉を貫き通す緒が切れることから、絶えることを導いている。
 四句「絶えじと思ふ」は、絶えることはあるまいと思うの意である。「じ」は打消推量、打消意志の助動詞で、仲の絶えないことを固く信じる心を表している。
 結句「妹があたり見つ」は、恋人の家のあたりを見たの意である。「つ」は完了の助動詞で、ようやく見ることができたという喜びを込めて言い切っている。

きはみ:果て、限り
たまのを:玉を貫き通す緒。「玉の緒の」の形で「絶ゆ」「乱る」「長し」などにかかる枕詞となる
あたり:その付近、そのあたり
出典
万葉集
前の歌
山吹のにほへる妹がはねず色の 赤裳の姿夢に見えつつ
次の歌
息の緒に思へば苦し玉の緒の 絶えて乱れな知らば知るとも