玉の緒の絶えたる恋の乱れなば
死なまくのみぞまたも逢はずして
- 歌の意味
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玉の緒が切れたように途絶えてしまった恋に思い乱れたならば、ただ死ぬばかりだ。再び逢うこともないままで。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2789
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
玉の緒が切れたように途絶えた恋に心が乱れてしまったら、もう一度逢うこともなく死ぬほかはないと嘆いた歌である。仲の途絶えた恋の絶望を、緒が切れて玉が散り乱れる姿に重ね、死を思うほどの悲しみとして詠んでいる。
「玉の緒」に寄せる一連の歌で、前歌の「玉の緒の絶えて乱れな」と同じく「絶え」「乱れ」の語を用いている。前歌が自ら乱れることを望んだのに対し、本歌は既に絶えてしまった恋の行く末を嘆いており、同じ語で異なる局面を詠み分けている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「玉の緒の」は「絶え」にかかる枕詞である。前歌に続き、玉を貫く緒が切れるさまを思わせている。
二句「絶えたる恋の」は、途絶えてしまった恋のの意である。「たる」は存続の助動詞「たり」の連体形で、仲が既に途絶えている状態をいう。前歌の「絶えて」と同じ語を受けている。
三句「乱れなば」は、思い乱れてしまったならばの意である。「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ば」は仮定を表す。緒が切れて玉が乱れる縁で「乱れ」と続けている。
四句「死なまくのみぞ」は、ただ死ぬことばかりだの意である。「死なまく」は「死なむ」のク語法で、係助詞「ぞ」によって強めているが、結びは省略されている。ここで句切れとなり、結句と倒置の関係にある。
結句「またも逢はずして」は、再び逢うこともないままでの意である。倒置によって最後に置かれ、二度と逢えない無念さを強く印象づけている。
たまのを:玉を貫き通す緒。「玉の緒の」の形で「絶ゆ」「乱る」などにかかる枕詞となる
みだる:思い乱れる。もとは糸や緒が切れて玉などがばらばらになる意
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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息の緒に思へば苦し玉の緒の 絶えて乱れな知らば知るとも
- 次の歌
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玉の緒のくくり寄せつつ末つひに 行きは別れず同じ緒にあらむ