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玉の緒のくくり寄せつつ末つひに
行きは別れず同じ緒にあらむ

歌の意味
玉の緒をくくって寄せ合わせるように、行く末はついに別れることなく、同じ一本の緒に貫かれていよう。
鑑賞
巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2790

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 玉の緒の端と端をくくり寄せるように、行く末は別れることなく、同じ一本の緒に貫かれた玉のように一緒にいようと誓った歌である。結ばれた緒に二人の仲を重ね、末長く添い遂げようとする願いを詠んでいる。
 「玉の緒」に寄せる一連の歌で、前の二首が緒の切れて乱れることを詠んだのに対し、本歌は緒をくくり寄せて結び、別れないことを詠んでおり、絶えて乱れる恋と結ばれて離れない恋とが対をなしている。本巻の第二千七百八十七首の「絶えじと思ふ」と同じく、仲の続くことを願う歌である。
 作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。

 初句「玉の緒の」は、玉を貫く緒のの意である。二句までが、緒の端をくくり寄せることから「末」を導く序詞となっている。
 二句「くくり寄せつつ」は、くくって寄せ合わせながらの意である。「つつ」は継続を表す接続助詞で、緒の両端を結び合わせるさまをいう。
 三句「末つひに」は、行く末はついにの意である。「末」は緒の端の意と、行く末の意とを重ねており、序詞から本旨へと転じる句となっている。
 四句「行きは別れず」は、行く先は別れることなくの意である。係助詞「は」によって行く末を取り立て、打消の「ず」で別れないことを言っている。
 結句「同じ緒にあらむ」は、同じ緒に貫かれていようの意である。「む」は意志の助動詞で、一本の緒に通された玉のように二人が離れずにいることを願っている。初句の「玉の緒」の「緒」を再び用いて一首を結んでいる。

くくる:ひもや緒で結ぶ、束ねる
を:緒。玉などを貫き通すひも
出典
万葉集
前の歌
玉の緒の絶えたる恋の乱れなば 死なまくのみぞまたも逢はずして
次の歌
片糸もち貫きたる玉の緒を弱み 乱れやしなむ人の知るべく