- 歌の意味
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人の噂がうるさいので、あなたを、鶉の鳴く荒れた人の古い家で語り合ってから帰した。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2799
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
人の噂がうるさいので、恋人を自分の家ではなく人の住まなくなった古い家で語らってから帰したと詠んだ女の歌である。人目を避けながらも逢わずにはいられない恋の切なさと、思うように逢えないもどかしさがにじんでいる。
本歌から鳥に寄せる歌が続き、本巻の第二千八百五首まで、鶉、鶏、洲鳥、山鳥、鶴などを詠み込む一連となっている。本歌では鶉の鳴く荒れた古家の情景が、人目を忍ぶ逢瀬のわびしさを印象づけている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「人言を」は、人の噂をの意である。万葉集の恋の歌では、人の噂、評判を恐れる心がしばしば詠まれている。
二句「繁みと君を」は、うるさいのであなたをの意である。「繁み」は形容詞「繁し」の語幹に接尾語「み」が付いたミ語法で、原因、理由を表している。
三句「鶉鳴く」は「古」にかかる枕詞である。鶉は草深い荒れた所に住む鳥であることから、荒れた古い家を導いている。
四句「人の古家に」は、人の住まなくなった古い家での意である。人目につかない場所として選ばれた逢瀬の場所をいう。
結句「語らひて遣りつ」は、語り合ってから帰したの意である。「語らふ」は親しく語り合う、契りを交わす意で、「つ」は完了の助動詞である。
ひとごと:人の噂、世間の評判
ふるへ:古い家。人の住まなくなった家
かたらふ:親しく語り合う、契りを交わす
やる:行かせる、帰す
- 出典
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万葉集
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伊勢の海人の朝な夕なに潜くといふ 鰒の貝の片思にして
- 次の歌
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暁と鶏は鳴くなりよしゑやし ひとり寝る夜は明けば明けぬとも