暁と鶏は鳴くなりよしゑやし
ひとり寝る夜は明けば明けぬとも
- 歌の意味
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夜明けだと鶏が鳴いている。ええ、ままよ、ひとりで寝る夜は、明けるなら明けてしまってもかまわない。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2800
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
夜明けを告げる鶏の声を聞きながら、恋人の来ないひとり寝の夜など、明けるなら明けてしまってもかまわないと、なげやりに言い放った女の歌である。共寝の夜なら惜しまれる夜明けも、ひとり寝の夜には何の未練もないという、自嘲を込めた嘆きである。
鳥に寄せる一連の歌で、鶏の声を詠み込んでいる。後朝の別れを告げる鶏の声は恋の歌に多く詠まれるが、本歌はそれをひとり寝の夜に聞くものとして反転させている。本巻の第二千八百三首も鶏を詠み込む歌である。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「暁と」は、夜明けだと、の意である。「暁」は夜明け前のまだ暗いころをいい、「と」は鶏の鳴き声の内容を示している。
二句「鶏は鳴くなり」は、鶏が鳴いているようだの意である。「かけ」は鶏の古名、「なり」は音や声によって判断する推定の助動詞で、ここで句切れとなる。
三句「よしゑやし」は、ええ、ままよ、どうともなれの意で、投げやりな気持ちを表す語である。
四句「ひとり寝る夜は」は、ひとりで寝る夜はの意である。係助詞「は」によって、共寝の夜とは違うひとり寝の夜を取り立てている。
結句「明けば明けぬとも」は、明けるのなら明けてしまってもかまわないの意である。同じ動詞を重ねて、どうでもよいという開き直った気持ちを強めている。「ぬ」は完了の助動詞、「とも」は逆接の仮定条件を表す。
かけ:鶏の古名
あかとき:夜明け前のまだ暗いころ。のちの「あかつき」
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人言を繁みと君を鶉鳴く 人の古家に語らひて遣りつ
- 次の歌
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大海の荒礒の洲鳥朝な朝な 見まく欲しきを見えぬ君かも