大海の荒礒の洲鳥朝な朝な
見まく欲しきを見えぬ君かも
- 歌の意味
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大海の荒磯の洲にいる鳥を毎朝見るように、毎朝見たいと思うのに、姿を見せないあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2801
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
大海の荒磯の洲に毎朝見える鳥のように、毎朝でも逢いたいと思うのに、姿を見せてくれない恋人を嘆いた女の歌である。朝ごとに必ず見える洲鳥と、少しも姿を見せない恋人とを対比させ、待つ身のさびしさを詠んでいる。
鳥に寄せる一連の歌で、荒磯の洲鳥を詠み込んでいる。本巻の第二千七百九十八首の「朝な夕なに」に対して本歌は「朝な朝な」と詠み、第二千七百九十三首の「見まく欲り」に対して本歌は「見まく欲しきを」と詠んでおり、近い語句を用いて逢いたい思いを重ねている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「大海の」は、大海のの意である。初句と二句が、毎朝見える洲鳥の姿から「朝な朝な」を導く序詞となっている。
二句「荒礒の洲鳥」は、荒磯の洲にいる鳥の意である。「荒礒」は岩の多い荒々しい海岸、「洲鳥」は洲に群れる鳥をいう。
三句「朝な朝な」は、毎朝毎朝の意である。序詞から本旨へと転じる句で、洲鳥を毎朝見ることと、恋人に毎朝逢いたいこととを重ねている。
四句「見まく欲しきを」は、見たいと思うのにの意である。「見まく」は「見む」のク語法で、「を」は逆接を表す接続助詞である。
結句「見えぬ君かも」は、姿を見せないあなたであることよの意である。「かも」は詠嘆の終助詞で、逢えない嘆きを深く込めて言い終えている。
ありそ:岩の多い荒々しい海岸
すどり:洲に群れる鳥
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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暁と鶏は鳴くなりよしゑやし ひとり寝る夜は明けば明けぬとも
- 次の歌
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思へども思ひもかねつあしひきの 山鳥の尾の長きこの夜を