高山にたかべさ渡り高々に
我が待つ君を待ち出でむかも
- 歌の意味
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高い山をたかべが渡っていく。その高さのように伸び上がる思いで私が待つあなたを、待ちおおせて迎えることができるだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2804
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
高い山をたかべが渡っていくように、伸び上がるようにして待ち焦がれているあなたを、ついに迎えることができるだろうかと、恋人の訪れを待つ女の歌である。待ち遠しさと、本当に来てくれるのかという不安とが入り混じっている。
鳥に寄せた歌の一連の一首で、山を越えて渡る水鳥のたかべを詠んでいる。「高山」「たかべ」「高々に」と「たか」の音を三たび重ねる技巧が際立ち、その響きが待ちわびて背伸びする心をそのまま伝えている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「高山に」は、高い山に、の意である。「たか」の音が以下の句に繰り返される起点となっている。
二句「たかべさ渡り」は、たかべが渡っていく、の意である。「たかべ」は小形の鴨であるコガモのことで、「さ」は語調を整える接頭語である。初句とこの句が序詞で、同音の繰り返しによって次の「高々に」を導いている。
三句「高々に」は、爪先立って伸び上がるように、待ち望むさまをいう語である。待ち焦がれる心の高ぶりを表している。
四句「我が待つ君を」は、私が待っているあなたを、の意である。「君」は女が男を呼ぶ語で、女の歌であることがわかる。
結句「待ち出でむかも」は、待ったあげくに迎えることができるだろうか、の意である。「待ち出づ」は待っていた人が現れるのを迎える意で、推量の助動詞「む」に詠嘆を込めた疑問の終助詞「かも」が付き、期待と不安を表している。
たかべ:コガモの古名。小形の鴨
まちいづ:待っていた人が現れるのを待ち受けて迎える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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里中に鳴くなる鶏の呼び立てて いたくは泣かぬ隠り妻はも
- 次の歌
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伊勢の海ゆ鳴き来る鶴の音どろも 君が聞こさば我れ恋ひめやも