我が背子が袖返す夜の夢ならし
まことも君に逢ひたるごとし
- 歌の意味
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あなたが袖を折り返して寝た夜の夢であったらしい。本当にあなたに逢ったようであった。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2813
詞書は前の歌に続き「問答」
あなたが袖を返して寝たという夜の夢であったらしい、夢の中で本当にあなたに逢ったようだったと、前歌の問いに答える女の歌である。相手の思いが夢となって届いたことを喜び、夢の逢瀬の確かさを伝えている。
左注の「右二首」によって前歌と一組をなす答えの歌である。前歌の「袖返しし」を「袖返す夜の」と受け、前歌の「夢に見えきや」という問いに「夢ならし」と答えており、問いの言葉を取り込んで応じる問答の形がよく表れている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「我が背子が」は、私の愛しいあなたが、の意である。「背子」は女が夫や恋人を親しんで呼ぶ語で、女の歌であることがわかる。
二句「袖返す夜の」は、袖を折り返して寝た夜の、の意である。前歌の四句「袖返ししは」を受けている。
三句「夢ならし」は、夢であったらしい、の意である。「ならし」は「なるらし」のつづまった形で、根拠のある推定を表す。ここで三句切れとなる。
四句「まことも君に」は、本当にあなたに、の意である。「まことも」は、まことに、本当に、の意で、夢の逢瀬の実感の強さを表している。
結句「逢ひたるごとし」は、逢ったようであった、の意である。「たる」は完了の助動詞「たり」の連体形、「ごとし」は比況の助動詞で、夢でありながら現実に逢ったかのような思いを表している。
せこ:女性が夫や恋人を親しんで呼ぶ語
いめ:夢の上代の語形
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我妹子に恋ひてすべなみ白栲の 袖返ししは夢に見えきや
- 次の歌
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我が恋は慰めかねつま日長く 夢に見えずて年の経ぬれば