我が恋は慰めかねつま日長く
夢に見えずて年の経ぬれば
- 歌の意味
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私の恋は慰めようがない。長い日々、あなたが夢に見えないまま、年が過ぎてしまったので。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2814
詞書は前の歌に続き「問答」
長い間あなたが夢にさえ現れないまま年が過ぎてしまったので、私の恋心は慰めようもないと嘆く歌である。逢えない日々の慰めであった夢の逢瀬さえ失われた寂しさが詠まれている。
問答の歌で、左注の「右二首」によって次歌と一組をなす。次歌は本歌の「ま日長く」「夢に見えずて」を受けて、たとえ夢にも見えず仲が絶えても、自分の片恋はやむときがないと答えている。前の一組の問答が夢で逢えたことを詠んだのに対し、この一組は夢でさえ逢えない嘆きを詠んでおり、夢の逢瀬をめぐって対照をなしている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「我が恋は」は、私の恋は、の意である。係助詞「は」で恋心を取り立てている。
二句「慰めかねつ」は、慰めることができない、の意である。「かね」は、しようとしてできない意を表し、完了の助動詞「つ」で言い切って二句切れとなる。
三句「ま日長く」は、長い日数にわたって、の意である。「ま」は接頭語、「日」は「け」と読み、日数の意である。次歌の初句にも同じ語が置かれている。
四句「夢に見えずて」は、夢に見えないで、の意である。「ずて」は打消の助動詞「ず」に接続助詞「て」が付いた形で、夢にさえ逢えない日々が続いたことを表す。
結句「年の経ぬれば」は、年が過ぎてしまったので、の意である。「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形で、「ば」が付いて確定の理由を表す。二句の「慰めかねつ」の理由を倒置によって後に述べている。
け:日数。日々
いめ:夢の上代の語形
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子が袖返す夜の夢ならし まことも君に逢ひたるごとし
- 次の歌
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ま日長く夢にも見えず絶えぬとも 我が片恋はやむ時もあらじ