梓弓弓束巻き替へ中見さし
さらに引くとも君がまにまに
- 歌の意味
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梓弓の弓束を巻き替え、中見さして、さらに引こうとも、あなたの思うままに。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2830
詞書は前の歌に続き「譬喩」
梓弓の弓束を巻き替え、改めて弓を引くことがあろうとも、それはあなたの心のままにと詠んだ歌である。弓を整え直して引くことに、改めて人の心を誘うことをたとえ、その成り行きを相手に委ねる思いを表したものと解される。
左注「右一首寄弓喩思」によって、弓に寄せて思いをたとえた歌とされる。前の二首の衣から弓へと題材が移り、以下、舟、魚、水、果実、草と、さまざまな物に寄せる譬喩歌が一首あるいは数首ずつ並べられている。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「梓弓」は、梓の木で作った弓である。弓に寄せる歌であることを冒頭で示し、上代に神事にも用いられた弓を題材としている句である。
二句「弓束巻き替へ」は、弓の握りの部分に巻いた革などを巻き替えての意である。弓を新たに整え直すことに、心を改めて相手に向かうことを重ねている句である。
三句「中見さし」は、語義が明らかでない句である。的の中心を見定める意などの説があるが確かではなく、いずれにしても弓を引く準備を述べたものと解されている。
四句「さらに引くとも」は、さらに引くとしてもの意である。「引く」は弓を引く意に、人の心を引く、誘う意を重ねており、「とも」は逆接の仮定を表している。
結句「君がまにまに」は、あなたの心のままにの意である。下に従うなどの語を略して言いさす形で、成り行きを相手に委ねる気持ちを余韻として残している。
あづさゆみ:梓の木で作った弓
ゆづか:弓の握りの部分。革や布などを巻く
まにまに:~のままに、~に任せて
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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衣しも多くあらなむ取り替へて 着ればや君が面忘れたる
- 次の歌
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みさご居る洲に居る舟の夕潮を 待つらむよりは我れこそまされ