みさご居る洲に居る舟の夕潮を
待つらむよりは我れこそまされ
- 歌の意味
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みさごのいる洲に乗り上げている舟が、夕方の満ち潮を待っているだろう、その待つ思いよりも、私の待つ思いのほうがまさっている。
- 鑑賞
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巻第十一 古今相聞往来歌類之上 2831
詞書は前の歌に続き「譬喩」
洲に乗り上げた舟が夕方の満ち潮を待ちわびているだろうが、それよりも自分が恋人を待つ思いのほうがまさっていると詠んだ歌である。潮が満ちなければ動けない舟の姿に、恋人の訪れを待つしかない身のもどかしさを重ねている。
左注「右一首寄船喩思」によって、舟に寄せて思いをたとえた歌とされる。前歌の弓に続き、本歌では水辺の舟という情景を借りて、待つ恋の切なさを詠んでいる。
作者は未詳である。巻第十一の作者未詳歌は、名を伝えない人々の恋の歌を集めたものである。
初句「みさご居る」は、みさごがいるの意である。みさごは水辺に棲み魚を捕る鳥で、人気のない洲の寂しい情景を描き出している句である。
二句「洲に居る舟の」は、洲に乗り上げてとどまっている舟のの意である。初句と同じ「居る」を重ねて調子を整え、動けずにいる舟の姿を示している句である。
三句「夕潮を」は、夕方に満ちてくる潮をの意である。舟が再び浮かんで動き出すために待たれるものを示している句である。
四句「待つらむよりは」は、待っているだろう、その思いよりはの意である。「らむ」は目の前にない事柄を推量する助動詞で、舟の心を思いやりつつ自分と比べている句である。
結句「我れこそまされ」は、私のほうがまさっているの意である。係助詞「こそ」を受けて「まされ」と已然形で結ぶ係り結びで、待つ思いの強さを言い切っている。
みさご:タカの一種。海岸や河口に棲み、魚を捕らえて食べる
す:川や海の中に土砂が積もって水面に現れた所
ゆふしほ:夕方に満ちてくる潮
- 出典
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万葉集
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梓弓弓束巻き替へ中見さし さらに引くとも君がまにまに
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山川に筌を伏せて守りもあへず 年の八年を我がぬすまひし