我が心ともしみ思ふ新夜の
一夜もおちず夢に見えこそ
- 歌の意味
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私の心が満たされず恋しく思っている。これから巡ってくる新しい夜の一夜も欠かさずに、夢に見えてほしい。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2842
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
恋人に逢えない心の飢えを訴え、せめて毎夜の夢に現れてほしいと願う歌である。夢に恋人が現れるのは、相手が自分を思っているしるしと考えられていた。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
本巻の問答歌第三千百二十首の下三句「新夜の一夜もおちず夢に見えこそ」は本歌と同じ句であり、離れた位置に同じ表現が置かれている。
初句「我が心」は、自分の心をいい、仮名の行では「あがこころ」と読む。
二句「ともしみ思ふ」の「ともしみ」は、形容詞「ともし」に接尾語「み」が付いた形で、心が満たされず慕わしく思う意である。
三句「新夜の」は、夜ごとに新たに巡ってくる夜をいう。
四句「一夜もおちず」の「おつ」は欠ける意で、一晩も欠かさずに、の意である。
結句「夢に見えこそ」の「こそ」は他に対する願望を表す終助詞で、夢に現れてほしいと願う。「夢」は古くは「いめ」と読む。
あらたよ:夜ごとに新しく巡ってくる夜
おつ:抜け落ちる、欠ける
いめ:夢
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が背子が朝明の姿よく見ずて 今日の間を恋ひ暮らすかも
- 次の歌
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愛しと我が思ふ妹を人皆の 行くごと見めや手にまかずして