このころの寐の寝らえぬは敷栲の
手枕まきて寝まく欲りこそ
- 歌の意味
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このごろ眠ることができないのは、あの子の手枕をして寝たいと思うからこそなのだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2844
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
眠れない夜の理由を自ら明かし、恋人の腕を枕にして寝たいという願いを率直に歌う。前歌の「手にまかずして」を受けるように、手枕への思いが続いている。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「このころの」は、このごろの、の意である。
二句「寐の寝らえぬは」の「寐(い)」は眠りの意の名詞で、「寝らえぬ」は可能の助動詞「らゆ」の打消で、眠ることができない、の意である。
三句「敷栲の」は、「手枕」にかかる枕詞である。
四句「手枕まきて」は、恋人の腕を枕として寝ることをいう。
結句「寝まく欲りこそ」の「寝まく」は「寝む」のク語法で、寝ることを望むからこそ、の意である。「こそ」で言いさして理由を強く示している。
い:眠り
しきたへ:寝床に敷く布、「枕」「袖」などにかかる枕詞
たまくら:腕を枕とすること
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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愛しと我が思ふ妹を人皆の 行くごと見めや手にまかずして
- 次の歌
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忘るやと物語りして心遣り 過ぐせど過ぎずなほ恋ひにけり