真玉つくをちをし兼ねて思へこそ
一重の衣ひとり着て寝れ
- 歌の意味
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遠い行く末までかけてあなたとの仲を思っているからこそ、一重の衣をひとりで着て寝ているのだ。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2853
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
行く末までの仲を信じて思うからこそ、薄い衣ひとつで寂しいひとり寝に耐えている、と歌う。ひとり寝のつらさを、将来への信頼が支えている点に心情の深さがある。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「真玉つく」は、玉を緒に通す意から、「緒(を)」と同じ音をもつ「をち」にかかる枕詞である。本巻の第二千九百七十三首も「真玉つくをちこち兼ねて」と歌い出している。
二句「をちをし兼ねて」の「をち」は遠い将来、「兼ねて」は前もって見越して、の意で、行く末までかけて、の意となる。
三句「思へこそ」は已然形に「こそ」が付いた確定条件で、思っているからこそ、の意となり、結句の已然形「寝れ」と係り結びをなす。
四句「一重の衣」は、重ねずに着る薄い衣をいい、共寝の相手のいない寒々しさを感じさせる。
結句「ひとり着て寝れ」は、ひとりで着て寝ている、の意で、三句の「こそ」を受けて已然形で結んでいる。
をち:遠い将来、行く末
かぬ:先々まで見越す
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人言の繁き時には我妹子し 衣にありせば下に着ましを
- 次の歌
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白栲の我が紐の緒の絶えぬ間に 恋結びせむ逢はむ日までに