山背の石田の社に心おそく
手向けしたれや妹に逢ひかたき
- 歌の意味
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山背の石田の社に、心をこめずおろそかに手向けをしたからだろうか、あの子に逢いがたいのは。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2856
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
恋人に逢えない理由を、道中の社への手向けがおろそかだったせいかと省みる歌である。旅の途中で神に幣を供えて道の安全や願いを祈る習わしを背景としている。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「山背の」は、今の京都府南部にあたる国の名である。
二句「石田の社に」は、山背国の石田にあった神の社をいい、京都市伏見区石田のあたりとされる。
三句「心おそく」は、心が鈍く、おろそかに、の意である。
四句「手向けしたれや」の「や」は疑問の係助詞で、手向けをしたからだろうか、と原因を推し量り、結句の連体形「かたき」で結ぶ。
結句「妹に逢ひかたき」は、あの子に逢いにくい、の意で、逢えない理由を神への祈りの不足に求めている。
もり:神の降りる森、社
たむけ:神に幣などを供えて祈ること
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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新治の今作る道さやかにも 聞きてけるかも妹が上のことを
- 次の歌
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菅の根のねもころごろに照る日にも 干めや我が袖妹に逢はずして