菅の根のねもころごろに照る日にも
干めや我が袖妹に逢はずして
- 歌の意味
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隈なく念入りに照りつける日の光にも、乾くことがあろうか、私の袖は。あの子に逢わないままでは。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2857
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
どれほど強い日差しでも、恋人に逢えずに流す涙で濡れた袖は乾かないと嘆く歌である。照りつける日と乾かぬ袖との対照によって、涙の尽きない恋の悲しみを強調している。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「菅の根の」は、根が長く入り組むことから、同音の「ねもころ」にかかる枕詞である。本巻の第三千五十四首にも「菅の根のねもころごろに」の句が見える。
二句「ねもころごろに」は、念入りに、の意で、ここでは日が隈なく照りつける様子をいう。
三句「照る日にも」は、照りつける日の光にも、の意である。
四句「干めや我が袖」の「干めや」は反語で、乾くだろうか、いや乾かない、の意となる。涙に濡れた袖をいう。
結句「妹に逢はずして」は、あの子に逢わないままでは、の意で、四句と倒置の関係にある。
すげ:カヤツリグサ科の草
ひる:乾く
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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山背の石田の社に心おそく 手向けしたれや妹に逢ひかたき
- 次の歌
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妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は 妹にし触れば我れさへに触れ