妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は
妹にし触れば我れさへに触れ
- 歌の意味
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あの子を恋しく思って眠れずにいた明け方に吹く風よ、もしあの子に触れてきたのなら、私にも触れておくれ。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2858
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
眠れぬ夜明けに吹く風に呼びかけ、恋人に触れてきた風ならば自分にも触れてほしいと願う歌である。風を介してでも恋人と触れ合いたいという切ない思いが、素朴な擬人法で表されている。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「妹に恋ひ」は、あの子を恋しく思って、の意である。
二句「寐ねぬ朝明に」は、眠れないまま迎えた明け方に、の意である。
三句「吹く風は」は、呼びかける相手を示し、風を擬人化している。
四句「妹にし触れば」の「し」は強意の副助詞で、もしあの子に触れたのなら、の意である。
結句「我れさへに触れ」は、私にまでも触れよ、の意の命令で、風を介して恋人と触れ合いたいと願う。
いぬ:眠る、寝入る
あさけ:夜明け方
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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菅の根のねもころごろに照る日にも 干めや我が袖妹に逢はずして
- 次の歌
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明日香川高川避かし越ゑ来しを まこと今夜は明けずも行かぬか