明日香川高川避かし越ゑ来しを
まこと今夜は明けずも行かぬか
- 歌の意味
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明日香川の水かさの増した流れを避けながら越えてきたのだから、本当に今夜は明けずにいてくれないものか。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2859
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
増水した明日香川を苦労して渡り恋人のもとへ通ってきた男が、今夜こそは夜が明けないでほしいと願う歌である。通い路の難儀が、逢瀬の時間を惜しむ思いをいっそう強めている。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の朝廷に仕えた宮廷歌人である。本歌は左注により柿本人麻呂歌集から採られた歌とわかるが、人麻呂自身の作か、人麻呂が書き留めた歌かについては説が分かれる。
初句「明日香川」は、奈良県明日香村を流れる川である。
二句「高川避かし」は、水かさの増した川を避けて、の意で、恋人のもとへ通う道の難儀をいう。
三句「越ゑ来しを」は、越えてやって来たのだから、の意で、苦労して通ってきたことを強調する。
四句「まこと今夜は」は、本当に今夜こそは、の意である。
結句「明けずも行かぬか」の「ぬか」は願望を表し、明けずにいてくれないものか、の意となる。
たかがは:水かさの増した川
よく:避ける
- 作者
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柿本人麻呂歌集
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は 妹にし触れば我れさへに触れ
- 次の歌
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八釣川水底絶えず行く水の 継ぎてぞ恋ふるこの年ころを