今は我は死なむよ我妹逢はずして
思ひわたれば安けくもなし
- 歌の意味
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もう私は死んでしまおうよ、いとしい妻よ。逢わずに思い続けていると、少しも心の安らぐことがない。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2869
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
逢えないまま思い続ける苦しさに、いっそ死んでしまおうと恋人に呼びかける男の歌である。死を口にする誇張が、恋の苦しさの激しさを示している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「今は我は」は、もはや私は、の意で、六音の字余りである。本巻の第二千九百三十六首は「今は我は死なむよ我が背」と女の立場から同じ句を歌い、男女の対をなしている。
二句「死なむよ我妹」は、死んでしまおうよ、いとしい妻よ、の意で、ここで二句切れとなる。
三句「逢はずして」は、逢わないままで、の意である。
四句「思ひわたれば」は、思い続けていると、の意である。
結句「安けくもなし」は「安し」のク語法で、心の安らぐこともない、の意である。
わぎも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
おもひわたる:思い続ける
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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恋ひつつも後も逢はむと思へこそ おのが命を長く欲りすれ
- 次の歌
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我が背子が来むと語りし夜は過ぎぬ しゑやさらさらしこり来めやも