- 歌の意味
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天地の大きさにわずかに及ばないほどの立派な男子だと思っていた私なのに、恋のために雄々しい心もなくなってしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2875
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
天地にわずかに及ばないほどの大丈夫だと自負していた男が、恋のために雄々しい心を失ったと嘆く歌である。大げさな自負と現在の弱さとの落差が、恋の力の大きさを印象づけている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「天地に」は、天と地に、の意である。
二句「少し至らぬ」は、少しだけ及ばない、の意で、天地にわずかに足りないほど大きな存在だという誇張である。
三句「大夫と」は、立派な男子をいう。本巻の第二千九百七首も「ますらをの聡き心も今はなし」と、恋に弱る男の姿を歌っている。
四句「思ひし我れや」の「や」は係助詞で、結句の連体形「なき」で結ぶ。
結句「雄心もなき」は、雄々しい心もない、の意で、自負と現在の弱さとの落差に、恋の力の大きさが表れている。
ますらを:勇ましく立派な男子
をごころ:雄々しい心
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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確かなる使をなみと心をぞ 使に遣りし夢に見えきや
- 次の歌
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里近く家や居るべきこの我が目の 人目をしつつ恋の繁けく