いつはなも恋ひずありとはあらねども
うたてこのころ恋し繁しも
- 歌の意味
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いつといって恋しく思わずにいたというわけではないけれど、このごろはひどく恋しさが募ることだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2877
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
いつも恋しく思ってはいたが、このごろは異様なほど恋しさが募ると、恋の深まりを自覚する歌である。平生の恋と近ごろの激しい恋とを比べることで、思いの高まりを描いている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「いつはなも」は、いつといって、の意で、「なも」は強意を表すとされる。
二句「恋ひずありとは」は、恋しく思わずにいるとは、の意である。
三句「あらねども」は、ないけれど、の意で、いつも恋しく思っていたことを認めている。
四句「うたてこのころ」の「うたて」は、ますますひどく、異様に、の意である。
結句「恋し繁しも」は、恋しさがしきりであることよ、の意で、「も」は詠嘆を表す。
このころ:近ごろ、このごろ
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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里近く家や居るべきこの我が目の 人目をしつつ恋の繁けく
- 次の歌
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ぬばたまの寐ねてし宵の物思ひに 裂けにし胸はやむ時もなし