ぬばたまの寐ねてし宵の物思ひに
裂けにし胸はやむ時もなし
- 歌の意味
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共に寝たあの夜以来の物思いのために、裂けてしまった胸は、痛みのやむ時もない。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2878
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
共寝をした夜から続く物思いに、胸が裂けて痛みがやまないと嘆く歌である。胸が裂けるという激しい言い方で、逢瀬のあとにかえって募る恋の苦しさを表している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「ぬばたまの」は、夜にかかわる「宵」にかかる枕詞である。
二句「寐ねてし宵の」は、共に寝たあの夜の、の意である。
三句「物思ひに」は、恋の物思いのために、の意で、仮名の行では「ものもひ」と読む。
四句「裂けにし胸は」は、裂けてしまった胸は、の意である。本巻の第二千八百九十四首も「我が胸は破れて砕けて」と同様の激しい表現を用いている。
結句「やむ時もなし」は、痛みのやむ時もない、の意である。
よひ:夜、夜のはじめ
ものもひ:物思い、思い悩むこと
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いつはなも恋ひずありとはあらねども うたてこのころ恋し繁しも
- 次の歌
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み空行く名の惜しけくも我れはなし 逢はぬ日まねく年の経ぬれば