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人言はまこと言痛くなりぬとも
そこに障らむ我れにあらなくに

歌の意味
人の噂が本当にうるさくなったとしても、それに妨げられるような私ではないのに。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2886

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 人の噂がどれほどうるさくなっても、それに妨げられるような自分ではないと言い切る歌である。噂を恐れる歌の多いなかで、噂に屈しない強い意志を示している点が目を引く。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「人言は」は、世間の人々の噂は、の意である。
 二句「まこと言痛く」の「言痛し」は、噂がうるさく煩わしい、の意である。
 三句「なりぬとも」は、なってしまったとしても、の意である。
 四句「そこに障らむ」は、そのことに妨げられるような、の意である。
 結句「我れにあらなくに」は、私ではないのに、の意で、噂には屈しないという強い意志を示している。

ひとごと:世間の人のうわさ
さはる:妨げられる、差し支える
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
さ夜更けて妹を思ひ出で敷栲の 枕もそよに嘆きつるかも
次の歌
立ちて居てたどきも知らず我が心 天つ空なり地は踏めども