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立ちて居てたどきも知らず我が心
天つ空なり地は踏めども

歌の意味
立っても座っても、どうしたらよいかわからない。私の心は空に浮かんでいるようだ。足は地面を踏んでいるけれども。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2887

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 恋のために心が上の空となり、体は地上にありながら心は空に浮いているようだと歌う。心と体の分離を天と地の対比で鮮やかに表した、印象深い表現である。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「立ちて居て」は、立っても座っても、の意で、本巻の第二千八百八十一首と同じ初句である。
 二句「たどきも知らず」は、どうしたらよいか手がかりもわからない、の意である。
 三句「我が心」は、私の心は、の意である。
 四句「天つ空なり」は、空にあるようだ、の意で、心が上の空で落ち着かない様子を表す。ここで四句切れとなる。
 結句「地は踏めども」は、足は地面を踏んでいるけれども、の意で、四句と対比をなす。本巻の第二千九百五十首も「心空なり地は踏めども」と同じ表現を用いている。

たどき:手がかり、手段
あまつそら:天の空、大空
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
人言はまこと言痛くなりぬとも そこに障らむ我れにあらなくに
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世の中の人のことばと思ほすな まことぞ恋ひし逢はぬ日を多み