古典和歌stream

いかならむ日の時にかも我妹子が
裳引きの姿朝に日に見む

歌の意味
いったいいつの日になったら、いとしい妻が裳裾を引いて歩く姿を、朝に昼に見られるのだろうか。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2897

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 いつになったら恋人の裳裾を引く姿を毎日見られるのかと、共に暮らす日を待ち望む歌である。裳を引いて歩く優美な女性の姿が、具体的な憧れの対象として描かれている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「いかならむ」は、どのような、の意である。
 二句「日の時にかも」は、日の時に、の意で、「かも」は疑問を表し、結句の「見む」と呼応する。
 三句「我妹子が」は、いとしい妻が、の意である。
 四句「裳引きの姿」は、裳の裾を長く引いて歩く女性の姿をいう。
 結句「朝に日に見む」は、朝に昼に、毎日見られるだろうか、の意で、共に暮らす日を待ち望む心を表す。

も:女性が腰から下にまとう衣
もびき:裳の裾を引くこと
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
うたがたも言ひつつもあるか我れならば 地には落ちず空に消なまし
次の歌
ひとり居て恋ふるは苦し玉たすき 懸けず忘れむ事計りもが