なかなかに黙もあらましをあづきなく
相見そめても我れは恋ふるか
- 歌の意味
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かえって何もせずにいればよかったのに。どうにもならないことに、逢い始めてからも私はこんなに恋しく思うことか。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2899
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
逢い始めればおさまると思った恋が、かえって募ってしまったことを悔やむ歌である。何もしなければよかったという後悔に、恋の皮肉な性質が表れている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「なかなかに」は、かえって、なまじっか、の意である。本巻の第三千三十三首第三千八十六首も同じ初句で歌い出している。
二句「黙もあらましを」の「黙」は黙っていること、何もしないことで、「まし」は反実仮想を表す。
三句「あづきなく」は、どうにもならず、つまらなくも、の意である。
四句「相見そめても」は、逢い始めてからも、の意である。
結句「我れは恋ふるか」は、私は恋い慕うことか、の意で、逢ってかえって募る恋を嘆いている。
もだ:黙っていること、何もしないでいること
あひみる:顔を合わせる、契りを結ぶ
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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ひとり居て恋ふるは苦し玉たすき 懸けず忘れむ事計りもが
- 次の歌
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我妹子が笑まひ眉引き面影に かかりてもとな思ほゆるかも