他国によばひに行きて大刀が緒も
いまだ解かねばさ夜ぞ明けにける
- 歌の意味
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よその国まで妻問いに出かけて、大刀の緒もまだ解かないうちに、夜が明けてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2906
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
遠い国まで妻問いに出かけたが、大刀の緒を解く間もなく夜が明けてしまったという、滑稽味のある歌謡風の歌である。古事記の八千矛神の歌にも、大刀の緒を解かぬうちに夜が明けるという同様の表現が見える。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「他国に」は、よその国に、の意である。
二句「よばひに行きて」の「よばひ」は、求婚、妻問いの意である。
三句「大刀が緒も」は、腰に帯びた大刀を吊る緒も、の意である。
四句「いまだ解かねば」は、まだ解かないうちに、の意で、到着してすぐのことをいう。
結句「さ夜ぞ明けにける」の「ぞ」は係助詞で、連体形「ける」で結び、夜が明けてしまったことを嘆く。
ひとくに:よその国、他国
よばひ:求婚、妻問い
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いくばくも生けらじ命を恋ひつつぞ 我れは息づく人に知らえず
- 次の歌
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ますらをの聡き心も今はなし 恋の奴に我れは死ぬべし