心には千重に百重に思へれど
人目を多み妹に逢はぬかも
- 歌の意味
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心の中では幾重にも重ねて思っているけれど、人目が多いので、あの子に逢わないことだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2910
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
心の中では幾重にも思っているが、人目が多くて逢えないと嘆く歌である。内に秘めた思いの大きさと、人目という外からの妨げとが対比されている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「心には」は、心の中では、の意である。本巻の第二千九百三十二首も「心には燃えて思へど」と歌い出し、同じ構成をとっている。
二句「千重に百重に」は、千回も百回も重ねて、の意で、数の誇張で思いの深さを表す。
三句「思へれど」は、思っているけれど、の意である。
四句「人目を多み」は、人目が多いので、の意である。
結句「妹に逢はぬかも」は、あの子に逢わないことだ、の意で、本巻の第二千九百三十二首と同じ結句である。
ちへ:幾重にも重なること
ひとめ:他人の見る目
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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おほろかに我れし思はば人妻に ありといふ妹に恋ひつつあらめや
- 次の歌
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人目多み目こそ忍ぶれすくなくも 心のうちに我が思はなくに