古典和歌stream

いつまでに生かむ命ぞおほかたは
恋ひつつあらずは死なましものを

歌の意味
いつまで生きる命だというのか。いっそのこと、恋い続けているよりは、死んでしまえばよいものを。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2913

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 限りある命なのだから、恋い続けて苦しむよりはいっそ死んでしまいたいと嘆く歌である。恋の苦しさに耐えかねて死を願う、本巻にしばしば見られる発想による。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「いつまでに」は、いつまで、の意である。
 二句「生かむ命ぞ」は、生きる命だというのか、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「おほかたは」は、おおよそ、いっそのこと、の意である。
 四句「恋ひつつあらずは」は、恋い続けているよりは、の意で、「ずは」は…するよりはむしろ、の意を表す。本巻の第三千二百五首も「恋ひつつあらずは」と同じ形を用いている。
 結句「死なましものを」は、死んでしまえばよいのに、の意で、「まし」は反実仮想を表す。

いく:生きる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
人の見て言とがめせぬ夢に我れ 今夜至らむ宿閉すなゆめ
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愛しと思ふ我妹を夢に見て 起きて探るになきが寂しさ