愛しと思ふ我妹を夢に見て
起きて探るになきが寂しさ
- 歌の意味
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いとしいと思う妻を夢に見て、目覚めて手探りしてみても、そこにいないのが寂しいことだ。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2914
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
いとしい妻を夢に見て、目覚めて手探りしたがいなかった寂しさを歌う。事項に遊仙窟とあり、中国の伝奇小説の表現の影響が指摘されている。巻第四の第七百四十一首の大伴家持の歌にも、夢の逢瀬から覚めて探っても手に触れないという同様の発想が見える。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「愛しと」は、いとしいと、の意である。本巻の第二千八百四十三首も「愛しと我が思ふ妹を」と歌い出している。
二句「思ふ我妹を」は、思う妻を、の意である。
三句「夢に見て」は、夢に見て、の意である。
四句「起きて探るに」は、目覚めて手探りしてみると、の意である。
結句「なきが寂しさ」は、いないのが寂しいことよ、と体言止めで結び、余韻を残している。
わぎも:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
さぐる:手探りする
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いつまでに生かむ命ぞおほかたは 恋ひつつあらずは死なましものを
- 次の歌
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妹と言はばなめし畏ししかすがに 懸けまく欲しき言にあるかも