古典和歌stream

うつつにか妹が来ませる夢にかも
我れか惑へる恋の繁きに

歌の意味
現実にあの子が来てくれたのか、それとも夢なのか。私が惑っているのだろうか、恋しさがあまりに募っているので。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2917

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 恋人が訪れたのが現実か夢か区別がつかないほど、恋しさに心が惑っていることを歌う。現実と夢の境が揺らぐ描写に、恋の激しさが表れている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「うつつにか」は、現実にか、の意で、「か」は疑問を表す。
 二句「妹が来ませる」は、あの子が来てくださった、の意である。
 三句「夢にかも」は、夢でだろうか、の意で、初句と対をなす。
 四句「我れか惑へる」は、私が惑っているのだろうか、の意である。
 結句「恋の繁きに」は、恋しさがしきりなので、の意で、現実と夢の区別がつかなくなるほどの恋の激しさを示している。

うつつ:現実、目覚めている状態
まとふ:心が乱れる、惑う
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
玉かつま逢はむと言ふは誰れなるか 逢へる時さへ面隠しする
次の歌
おほかたは何かも恋ひむ言挙げせず 妹に寄り寝む年は近きを