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おほかたは何かも恋ひむ言挙げせず
妹に寄り寝む年は近きを

歌の意味
そもそも、どうして恋い焦がれることがあろうか。言葉に出して言い立てたりしなくても、妻に寄り添って寝る年は近いのだから。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2918

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 結婚して共に寝る日は近いのだから、言い立てて恋い焦がれる必要はないと、自らに言い聞かせる歌である。焦る心を抑えて落ち着こうとする姿に、かえって待ちきれない思いがにじむ。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「おほかたは」は、おおよそ、そもそも、の意である。
 二句「何かも恋ひむ」は、どうして恋い焦がれることがあろうか、の意の反語である。ここで二句切れとなる。
 三句「言挙げせず」の「言挙げ」は、言葉に出して言い立てることをいう。
 四句「妹に寄り寝む」は、妻に寄り添って寝る、の意である。
 結句「年は近きを」は、その年は近いのだから、の意で、結ばれる日が近いことを自らに言い聞かせている。

ことあげ:言葉に出して言い立てること
よりぬ:寄り添って寝る
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
うつつにか妹が来ませる夢にかも 我れか惑へる恋の繁きに
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ふたりして結びし紐をひとりして 我れは解きみじ直に逢ふまでは