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悔しくも老いにけるかも我が背子が
求むる乳母に行かましものを

歌の意味
悔しいことに年老いてしまったことよ。あの人が求めている乳母に、私が行ってあげたいところなのに。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2926

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 前歌の戯れを受けて、年老いてしまったので乳母として行けないのが悔しいと、年配の女がおどけて応じた歌である。老いを嘆く形をとりながら、軽妙な機知でやりとりを締めくくっている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「悔しくも」は、悔しいことに、の意である。
 二句「老いにけるかも」は、年老いてしまったことよ、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「我が背子が」は、女が恋しい男を呼ぶ語である。
 四句「求むる乳母に」は、前歌の「乳母求むらむ」を受け、あの人が求めている乳母に、の意である。
 結句「行かましものを」は、行ってあげたいところなのに、の意で、年老いた身を嘆きつつ戯れに応じている。

おゆ:年をとる
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
みどり子のためこそ乳母は求むと言へ 乳飲めや君が乳母求むらむ
次の歌
うらぶれて離れにし袖をまたまかば 過ぎにし恋い乱れ来むかも