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宵々に我が立ち待つにけだしくも
君来まさずは苦しかるべし

歌の意味
毎晩私が外に立って待っているのに、もしもあなたがおいでにならなかったら、苦しいことだろう。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2929

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 毎晩外に立って恋人を待つ女が、もし来てくれなかったらと、まだ起きていない不安を先取りして嘆く歌である。待つ身の不安が、仮定の形で切実に表されている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「宵々に」は、毎晩毎晩、の意である。
 二句「我が立ち待つに」は、私が外に立って待っているのに、の意である。
 三句「けだしくも」は、もしかして、もしも、の意である。
 四句「君来まさずは」は、あなたがおいでにならなかったら、の意である。
 結句「苦しかるべし」は、苦しいことだろう、の意で、まだ起きていない不安を先取りして嘆いている。

たちまつ:外に立って待つ
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
おのがじし人死にすらし妹に恋ひ 日に異に痩せぬ人に知らえず
次の歌
生ける世に恋といふものを相見ねば 恋のうちにも我れぞ苦しき