人言を繁み言痛み我が背子を
目には見れども逢ふよしもなし
- 歌の意味
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人の噂がうるさく煩わしいので、愛しいあの人を目では見ているけれど、逢う手立てもない。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2938
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
噂がうるさいために、恋人の姿は見えても逢う手立てがないと嘆く女の歌である。姿が見えるほど近くにいながら逢えないもどかしさが述べられている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「人言を」は、世間の噂を、の意である。
二句「繁み言痛み」は、うるさく煩わしいので、の意である。本巻の第二千八百九十五首と同じ上二句で、ここでは女の立場から歌われ、男女の対をなしている。
三句「我が背子を」は、女が恋しい男を呼ぶ語である。
四句「目には見れども」は、目では見ているけれど、の意で、姿は見られても近づけない状況を示す。
結句「逢ふよしもなし」は、逢う手立てもない、の意である。
ひとごと:世間の人のうわさ
よし:手立て、方法
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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白栲の袖折り返し恋ふればか 妹が姿の夢にし見ゆる
- 次の歌
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恋と言へば薄きことなりしかれども 我れは忘れじ恋ひは死ぬとも