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人言を繁みと妹に逢はずして
心のうちに恋ふるこのころ

歌の意味
人の噂がうるさいからと、あの子に逢わないで、心の中でばかり恋しく思っているこのごろだ。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2944

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 噂を気にして恋人に逢わず、心の中だけで恋い慕っている近ごろの日々を歌う。表に出せない思いを内に抱え込む忍ぶ恋の姿が描かれている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「人言を」は、世間の噂を、の意である。
 二句「繁みと妹に」は、うるさいからといって、あの子に、の意である。
 三句「逢はずして」は、逢わないで、の意である。
 四句「心のうちに」は、心の中で、の意で、本巻の第二千九百十一首と同じ語を用いている。
 結句「恋ふるこのころ」は、恋しく思っているこのごろだ、と体言止めで結んでいる。

ひとごと:世間の人のうわさ
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
我が命の長く欲しけく偽りを よくする人を捕ふばかりを
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玉梓の君が使を待ちし夜の なごりぞ今も寐ねぬ夜の多き