思ひにしあまりにしかばすべをなみ
我れは言ひてき忌むべきものを
- 歌の意味
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思いがあふれてしまったので、どうしようもなく、私は口に出して言ってしまった。慎むべきことなのに。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2947
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
恋の思いがあふれて抑えきれず、慎むべきなのに口に出してしまったことを悔やむ歌である。当時、恋の思いを口外することは慎むべきこととされていた。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
左注には、或本として三句以下を「門に出でて我が臥い伏すを人見けむかも」とする歌、その一云として「すべをなみ出でてぞ行きし家のあたり見に」、さらに柿本人麻呂歌集の「にほ鳥のなづさひ来しを人見けむかも」が記され、同じ上句から異なる下句が伝えられている。
初句「思ひにし」は、思ってしまった、の意である。
二句「あまりにしかば」は、思いがあふれてしまったので、の意である。
三句「すべをなみ」は、どうしようもないので、の意で、ここまでが理由を述べる。
四句「我れは言ひてき」は、私は口に出して言ってしまった、の意である。
結句「忌むべきものを」は、慎むべきことなのに、の意で、恋を口外してしまった後悔を示している。
いむ:忌み慎む、はばかる
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉桙の道に行き逢ひて外目にも 見ればよき子をいつとか待たむ
- 次の歌
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明日の日はその門行かむ出でて見よ 恋ひたる姿あまたしるけむ