今よりは逢はじとすれや白栲の
我が衣手の干る時もなき
- 歌の意味
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これからはもう逢うまいとあの人が思っているからだろうか、私の白い袖の乾く時もないのは。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2954
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
袖が涙で乾く間もないのは、相手がもう逢うまいと思っているからだろうかと、不安を募らせる歌である。涙の止まらない理由を相手の心変わりに求める推量に、恋の不安が表れている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「今よりは」は、これからは、の意である。本巻の第二千九百五十七首も同じ初句で歌い出している。
二句「逢はじとすれや」は、逢うまいとしているからだろうか、の意で、「や」は疑問を表し、結句の連体形「なき」で結ぶ。
三句「白栲の」は、「衣手」にかかる枕詞である。
四句「我が衣手の」は、私の袖が、の意である。
結句「干る時もなき」は、乾く時もない、の意で、仮名の行では「干る」を「ふる」と読む。涙が絶えない不安を表している。
ころもで:袖
ふ:乾く、上代の上二段動詞
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君に恋ひ我が泣く涙白栲の 袖さへ漬ちてせむすべもなし
- 次の歌
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夢かと心惑ひぬ月まねく 離れにし君が言の通へば