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あらたまの年月かねてぬばたまの
夢に見えけり君が姿は

歌の意味
長い年月にわたって、夜の夢に見えていたことだ、あなたの姿は。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2956

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 長い年月にわたって、あなたの姿が夜ごとの夢に見えていたと歌う女の歌である。年月を通じて夢に現れ続けた相手への、変わらぬ思いが述べられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「あらたまの」は、「年」にかかる枕詞である。
 二句「年月かねて」は、長い年月にわたって、の意である。
 三句「ぬばたまの」は、「夢」にかかる枕詞である。初句と三句に枕詞を重ね、荘重な調べを生んでいる。
 四句「夢に見えけり」は、夢に見えていたことだ、の意である。
 結句「君が姿は」は、あなたの姿は、の意で、倒置によって結んでいる。

あらたま:「年」「月」などにかかる枕詞
ぬばたま:ヒオウギの黒い実、「夜」「黒」などにかかる枕詞
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
夢かと心惑ひぬ月まねく 離れにし君が言の通へば
次の歌
今よりは恋ふとも妹に逢はめやも 床の辺去らず夢に見えこそ