古典和歌stream

うつつには言も絶えたり夢にだに
継ぎて見えこそ直に逢ふまでに

歌の意味
現実には便りも途絶えてしまった。せめて夢の中でだけでも、続けて見えてほしい。直接逢うまでは。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2959

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 現実には便りさえ途絶えてしまったので、直接逢える日までせめて夢に続けて現れてほしいと願う歌である。現実と夢の対比のうちに、再会への望みをつないでいる。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「うつつには」は、現実には、の意で、本巻の第二千八百五十首と同じ初句である。
 二句「言も絶えたり」は、便りも途絶えてしまった、の意で、ここで二句切れとなる。
 三句「夢にだに」は、せめて夢にだけでも、の意である。
 四句「継ぎて見えこそ」は、続けて見えてほしい、の意である。
 結句「直に逢ふまでに」は、直接逢うまでは、の意で、本巻の第二千八百四十六首と同じ結句である。

うつつ:現実、目覚めている状態
つぐ:絶えずに続ける
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
人の見て言とがめせぬ夢にだに やまず見えこそ我が恋やまむ
次の歌
うつせみの現し心も我れはなし 妹を相見ずて年の経ぬれば