うつせみの常のことばと思へども
継ぎてし聞けば心惑ひぬ
- 歌の意味
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世の人のありきたりな言葉だとは思うけれど、続けて聞いていると、心が惑ってしまった。
- 鑑賞
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巻第十二 正述心緒 2961
詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
相手の言葉を世間でありふれた口説き文句だと思いながらも、繰り返し聞くうちに心が揺らいでしまったと歌う。用心しながらも心を動かされていく恋の始まりの様子が描かれている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「うつせみの」は、この世の人の、の意で、前歌に続いて同じ初句で歌い出している。
二句「常のことばと」は、ありきたりの言葉と、の意で、本巻の第二千八百八十八首の「世の中の人のことばと」と通じる発想である。
三句「思へども」は、思うけれども、の意である。
四句「継ぎてし聞けば」は、続けて聞くと、の意で、「し」は強意である。
結句「心惑ひぬ」は、心が惑ってしまった、の意で、恋の言葉を繰り返されて心が揺らぐさまをいう。
うつせみ:この世、現世の人、「人」「世」にかかる枕詞
まとふ:心が乱れる、惑う
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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うつせみの現し心も我れはなし 妹を相見ずて年の経ぬれば
- 次の歌
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白栲の袖離れて寝るぬばたまの 今夜は早も明けば明けなむ