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白栲の手本ゆたけく人の寝る
味寐は寝ずや恋ひわたりなむ

歌の意味
袖をゆったりと広げて人が寝るような、心地よい眠りを私は寝られずに、恋い続けることになるのだろうか。
鑑賞
巻第十二 正述心緒 2963

詞書は前の歌に続き「正に心緒を述ぶ」
 人々がゆったりと心地よく眠るのに対し、自分は熟睡もできず恋い続けるのだろうかと嘆く歌である。他人の安眠と自分の不眠とを対比している。この歌で、作者を記さない正述心緒の部が結ばれる。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「白栲の」は、「手本」にかかる枕詞である。
 二句「手本ゆたけく」は、袖をゆったりと広げて、の意である。
 三句「人の寝る」は、世の人が寝る、の意である。
 四句「味寐は寝ずや」の「味寐」は心地よい熟睡の意で、それは寝られずに、の意となる。
 結句「恋ひわたりなむ」は、恋い続けることになるのだろうか、の意である。

うまい:心地よい眠り、熟睡
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
白栲の袖離れて寝るぬばたまの 今夜は早も明けば明けなむ
次の歌
かくのみにありける君を衣にあらば 下にも着むと我が思へりける