- 歌の意味
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橡染めの袷の衣を裏返しにするように、あなたの心が裏返ってしまったのなら、私が無理に強いたりしようか。あなたがおいでにならないのを。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2965
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
衣を裏返すように相手の心が変わってしまったのなら、無理に来てほしいとは言わない、と恨みを込めて歌う女の歌とされる。上三句のかかり方を含め、解釈には諸説がある。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「橡の」は、くぬぎの実の煎じ汁で染めた地味な色の衣をいう。
二句「袷の衣」は、裏地のついた衣で、初句とともに「裏」を導いている。
三句「裏にせば」は、裏返しにするならば、の意で、相手の心変わりをたとえるとされるが、解釈には諸説がある。
四句「我れ強ひめやも」は反語で、私が無理強いなどしようか、の意である。
結句「君が来まさぬ」は、あなたがおいでにならないことを、の意で、四句と倒置の関係にある。
つるはみ:クヌギの実、またその煎じ汁で染めた色
あはせ:裏地のついた衣
しふ:無理にさせる、強いる
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくのみにありける君を衣にあらば 下にも着むと我が思へりける
- 次の歌
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紅の薄染め衣浅らかに 相見し人に恋ふるころかも