年の経ば見つつ偲へと妹が言ひし
衣の縫目見れば悲しも
- 歌の意味
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年が経ったら、これを見ながら私を偲んでほしいと妻が言った、その衣の縫い目を見ると悲しい。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2967
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
離れて暮らすことになった妻が、年月が経ったらこれを見て偲んでほしいと言って託した衣の縫い目を見て、悲しみに沈む男の歌である。妻の手仕事の跡である縫い目に、その面影を見ている。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「年の経ば」は、年が経ったならば、の意である。
二句「見つつ偲へと」は、これを見ながら私を偲んでほしいと、の意である。
三句「妹が言ひし」は、妻が言った、の意で、初句からここまでが妻の言葉となる。
四句「衣の縫目」は、妻が縫ってくれた衣の縫い目、の意で、妻の手仕事の跡に面影を見ている。
結句「見れば悲しも」は、見ると悲しい、の意である。
ぬひめ:縫い目
しのふ:思い慕う
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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紅の薄染め衣浅らかに 相見し人に恋ふるころかも
- 次の歌
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橡の一重の衣うらもなく あるらむ子ゆゑ恋ひわたるかも