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解き衣の思ひ乱れて恋ふれども
何のゆゑぞと問ふ人もなし

歌の意味
ほどいた衣のように思い乱れて恋しているけれど、どうしたのかと尋ねてくれる人もいない。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 2969

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 ほどいた衣のように心が乱れて恋に苦しんでいるのに、そのわけを尋ねてくれる人さえいないと、孤独な恋を嘆く歌である。思いを打ち明ける相手もいない寂しさが述べられている。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「解き衣の」は、縫い目をほどいた衣が乱れることから「乱る」にかかる枕詞である。
 二句「思ひ乱れて」は、思い乱れて、の意である。
 三句「恋ふれども」は、恋しているけれども、の意である。
 四句「何のゆゑぞと」は、どういうわけかと、の意である。
 結句「問ふ人もなし」は、尋ねてくれる人もない、の意で、思い乱れる孤独を訴えている。

とききぬ:縫い目をほどいた衣、「乱る」にかかる枕詞
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
橡の一重の衣うらもなく あるらむ子ゆゑ恋ひわたるかも
次の歌
桃染めの浅らの衣浅らかに 思ひて妹に逢はむものかも