大君の塩焼く海人の藤衣
なれはすれどもいやめづらしも
- 歌の意味
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大君のために塩を焼く海人の藤衣が着慣れてよれよれになるように、あなたに慣れ親しんではいるけれど、ますますいとしく思われる。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2971
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
塩焼く海人の粗末な藤衣が着慣れるさまを序として、長く慣れ親しんだ相手がますますいとしく思われると歌う。慣れることで色あせない愛情を、着古した衣という生活に根ざした比喩で表している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「大君の」は、天皇の、の意で、大君のために塩を焼く、と続く。
二句「塩焼く海人の」は、海水を煮て塩を作る海辺の民の、の意である。
三句「藤衣」は、藤の蔓の繊維で織った粗末な衣で、ここまでが着慣れる意の「なれ」を導く序詞となる。
四句「なれはすれども」は、慣れ親しんではいるけれど、の意で、衣が着古されることと、男女が慣れ親しむこととを重ねている。
結句「いやめづらしも」は、ますます愛すべきものに思われる、の意で、慣れてもなお新鮮な愛情を表している。
ふぢころも:藤の蔓の繊維で織った粗末な衣
なる:慣れ親しむ、着慣れる
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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桃染めの浅らの衣浅らかに 思ひて妹に逢はむものかも
- 次の歌
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赤絹の純裏の衣長く欲り 我が思ふ君が見えぬころかも