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紫の帯の結びも解きもみず
もとなや妹に恋ひわたりなむ

歌の意味
紫色の帯の結び目もほどいてみることなく、むなしくあの子を恋い続けることになるのだろうか。
鑑賞
巻第十二 寄物陳思 2974

詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
 恋人の紫の帯を解くこともなく、むなしく恋い続けるのだろうかと嘆く男の歌である。帯を解くことは共寝を意味し、まだ結ばれていない恋のもどかしさを表している。
 作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。

 初句「紫の」は、紫色に染めた、の意である。
 二句「帯の結びも」は、帯の結び目も、の意である。
 三句「解きもみず」は、ほどいてもみないで、の意で、共寝もしないまま、の含みがある。ここで三句切れとなる。
 四句「もとなや妹に」の「もとな」は、むやみに、むなしく、の意である。
 結句「恋ひわたりなむ」は、恋い続けることになるのだろうか、の意である。

おび:帯
作者
作者未詳
出典
万葉集
前の歌
真玉つくをちこち兼ねて結びつる 我が下紐の解くる日あらめや
次の歌
高麗錦紐の結びも解き放けず 斎ひて待てど験なきかも