まそ鏡見飽かぬ妹に逢はずして
月の経ゆけば生けりともなし
- 歌の意味
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いくら見ても見飽きることのない妻に逢わないまま月日が過ぎていくので、生きている心地もしない。
- 鑑賞
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巻第十二 寄物陳思 2980
詞書は前の歌に続き「物に寄せて思ひを陳ぶ」
いくら見ても見飽きない恋人に逢えないまま月日が過ぎ、生きている心地もしないと嘆く男の歌である。鏡を詠み込む一連の三首目で、見飽きない思いを鏡の枕詞に託している。
作者は未詳である。巻第十二は「古今相聞往来歌類之下」と題され、名の伝わらない人々の恋の歌を部立ごとに収めている。
初句「まそ鏡」は、「見」にかかる枕詞で、三首続けて鏡を詠み込んでいる。
二句「見飽かぬ妹に」は、いくら見ても見飽きない妻に、の意である。
三句「逢はずして」は、逢わないままで、の意である。
四句「月の経ゆけば」は、月日が過ぎていくので、の意である。
結句「生けりともなし」は、生きている心地もしない、の意である。本巻の第三千六十首第三千百七首第三千百八十五首も同じ結句で結ばれている。
まそかがみ:よく澄んだ立派な鏡、「見る」などにかかる枕詞
いく:生きる
- 作者
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作者未詳
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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まそ鏡直目に君を見てばこそ 命に向ふ我が恋やまめ
- 次の歌
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祝部らが斎くみもろのまそ鏡 懸けて偲ひつ逢ふ人ごとに